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2020年5月20日 (水)

ディーパンカラ・サヤレー 法話(4)

2019年末より20年正月にかけて行われたディーパンカラ・サヤレーの南房総合宿での法話を文章にして順次掲載しています。
文章化にあたり、ご協力くださった皆様に深く感謝申し上げます。

 

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   夕焼けの富士山

 
 今日は、瞑想合宿の最終日ですね。まずは、もう一度皆さんに感謝したいと思います。
企画・運営されたオーガナイザーの方々、ボランティアスタッフの方々、そして瞑想合宿に参加された方々、本当にありがとうございます。皆さんと一緒に、本当に幸せな気持ちになっています。皆さんがこの瞑想合宿で成し遂げられたことに、たいへん感謝いたします。皆さんはたいへん大きな功徳となる行為をなさいました。

 何度かお話したことがありますが、このような休日には普通なら、皆さんリラックスしたいし、ぐっすり眠りたいと思いますね。また、休みの日だから、どこかへでかけようということになります。ですから、こうして瞑想をしにくるということは簡単なことではありません。なぜなら、眠れませんし、リラックスもできませんから、苦しいですね。でも、苦しいと思いながらも、こうして瞑想に来てくださったことは、本当に智慧なくしてはありません。本当に皆さん、大きな善いカルマをなされました。
 
 今日やっと家に帰れて、ゆっくり眠ることができますね(笑)。苦から解放されますね(笑)。 しかし、こうして皆さん来てくださって、瞑想も進まれたのでたいへん嬉しく思います。多くの方がニミッタを見ることができましたし、禅定の手前の深い瞑想状態にも入れましたから、成果があったといえるでしょう。また引き続きニミッタをもっと安定させたい、禅定に入りたい方は、明日の東京都内の一日瞑想会にもぜひお越しください。ニミッタが見えなくても大丈夫です。引き続き呼吸に集中してください。

 

おさらい

 前回法話でお話したことを覚えていますか。 眼、耳、鼻など6つの感覚器官がありますが、例えば眼の中には何種類の、物質ができる原因がありましたか?
 あらゆる物質の粒子の集団は4種類の原因によってできます。1つ目はカルマによって、2つ目は心によって、3つ目は熱によって、4つ目は栄養素によってです。どの物質も4つのどれかによってできています。4種類のどの原因によってできた物質であっても、その中に8種類の物質が絶対に含まれています。
 
 その8つは何だったでしょうか、覚えていますか。まず、地・水・火・風の4つです。地水火風の4つ以外に、5つ目の色(いろ)ですね。どんな物質にも色がついています。ですから、目の色や体の色や内臓の色が違うわけです。それから、匂い、味、栄養素ですね。では、もう一回、8種類を言ってみましょう。

 

 参加者:地・水・火・風、色、匂い、味、栄養素。

 

 そして、カルマによってできる物質は、10個でしたね。加えて何でしたか? 9個目は「命根」、いのちの部分。それから10個目は「透明な要素(浄色)」ですね。ですから、カルマでできた物質は、この10個目の「透明な要素」のおかげでキラキラ輝いて明るいのです。では、続きを話しますよ、復習は終わりです。しっかり聞いてください。とても簡単にお話します。

 

アナータピンディカ

 シャカムニ・ブッダが生きていらっしゃった時代、とても裕福な在家信者がいました。アナータピンディカ居士といって、祇園精舎をお布施された方です。アナータピンディカの名前は皆さん聞いたことがありますね。アナータピンディカは、お布施で有名な方で、お布施に興味があり、お布施をすることが大好きで、たくさんのお布施をしたのですが、法話については、お布施について聞くことは好きでしたが、心と物質(ナーマ・ルーパ)についてなどの難しい話をきくのはあまり好きではなかったそうです。全生涯をお布施にそそぎ、ほぼ死ぬ直前までお布施をしていました。

 

 ある日、アナータピンディカは、ブッダのところに礼拝しに行きたいと思いましたが、病に伏せっており、行くことができませんでした。そこで、代わりに使用人をつかいに出し、ブッダと比丘サンガを礼拝させることにしました。その時、僧院でなされた法話はお布施の内容でした。皆さんもほとんどは、お布施の法話を聞くことは好きでも、瞑想のくわしい部分や心と物質(ナーマ・ルーパ)についての法話を聞きたい人はあまり多くはないですよね。
 アナータピンディカは、自分の代わりに使用人をお寺にいかせて、自分が病のためにお寺にいくことができないことの許しを請い、その代わりに使用人に礼拝させ、サーリプッタ尊者に状況を説明した上で、説法をしに来ていただけるようにお願いしました。

 

 そこで、サーリプッタ尊者は、アナータピンディカの元へやってきて、声をかけました。「こんにちは、具合はどうですか。病はから回復しそうですか?」。アナータピンディカは、「具合はよくありません。病から回復しそうになく、もう間もなく死んでしまうように思います」と答えました。尊者は、もうじき彼は死んでしまうだろうと思い、最も有益なことを語ろうと考えました。アナータピンディカは在家でありながら、既に、預流果の境地に達しており、今ここで法話を聞いて実践することによって、一来果、不還果、阿羅漢果を得ることを尊者は願っていました。そこで、尊者はアナータピンディカに、「今から話すことを注意深く聞いてください。聞きながら、自分の体の内側を洞察してください」と言いました。ですから、ここで話を聞いている皆さんも、集中して、今からサヤレーが話すことを聞きながら、自分の体の内側を洞察するようにしてください。もし、それができたら、サヤレーのこの話を聞き終わる頃には、預流果に達することができますよ(笑)。ほかの事を考えてはダメですよ、家族とかお金の事とかを考えてはダメです(笑)。いいですか?

 

 サーリプッタ尊者は説明しはじめました。「アナータピンディカよ、ヴィパッサナーをしなければいけません。自分の体の中をもっと深く洞察しなければいけません」と。
この法話の中で、尊者はアナパナ・サティや、慈悲のことは一切説明しませんでした。なぜなら、アナータピンディカは既に預流果に達していたので、善い集中力をもっていましたし、アナパナ・サティのやり方も知っていました。ですから、いきなりヴィパッサナーの実践の話から始めたわけです。皆さんも全員、サヤレーと一緒に長いこと修行しているので、すでにアナパナ・サティのことも知っていますし、どうのように心をコントロールしなければならないかも知っていますね。ですから、今日は禅定のことは話しません。ここから集中してください。

 

9種類の瞑想対象  

 ヴィパッサナーには、9種類の瞑想対象があります。1つ目は、眼です。自分の眼の中の白い部分と茶色い部分を観察してください。先程説明した、中央の眼の透明な部分に注目するようにしてください。キラキラと輝いている部分です。眼という物質は、4種類の原因からつくられていますね。そこで、キラキラと輝いているのはどの部分でしたでしょうか? 4種類のうちのどれによって、キラキラと輝く部分ができるのでしたか?
 参加者:カルマです。

 

そうですね。ほかの3種類からできる物質はキラキラしていません。ですので、尊者はアナータピンディカに、この目の最も透明な部分を見るように、このカルマによってできた物質を対象にして観察してくださいと、いきなり言いました。普通の人なら、眼の透明な部分を見てくださいといきなり言われても意味がわからず、ついていけないでしょう。それで、今日の法話のために、サヤレーは皆さんに事前に2回、法話をしたのです。

 

 まず、眼の真ん中にある透明な部分に集中しましょう。この透明な部分が外的な視覚対象物と接触できる部分なのです。ですから、心をこの透明な部分に集中してみてください。その中をさらに見ていくと粒子レベルまで細かいものがありますが、粒子はパッパッ、パッパッと、生じては消え、生じては消えていき、決して安定していません。わかりますか?
このように、生じては消える粒子をずっと集中して見て、これは一瞬たりとも安定していない、無常である、とどめることはできない、苦である、自分のものではない、無我である、と三相(無常・苦・無我)を観ていきます。そのように、現われては消え、現われては消えていくので、これは決してとどまっていない、無常である、これはとどめておくことができない、これは私のものではない、私の目の透明な要素ではない、私に属するものではないとわかってきます。ですから、自分の中にある物質の粒子というものは、消えるものです。絶対に残りません。

 

 尊者はアナータピンディカに、このように、「無常・苦・無我」を観察していきなさいと言いました。自分の目の透明な部分は、決して自分のものではない、自分に属していない、自分自身ではないと洞察していきなさい、そして、残りの5つの器官も同様に観察していきなさい、と指導しました。わたしたちの体には、同じく6つの感覚器官がありますね。これが、ヴィパッサナーの1つ目の対象です。

 

 2つ目は外にある対象物です。それは何でもいいのです。花もそうだし、他人もそうなんですけれども、それらを全部ヴィパッサナーの瞑想対象として見ます。人を見る時にもヴィパッサナーの対象としてみます。動物もですし、デーヴァもです。1番目が自分の眼の中の内的な対象物だったので、2つ目は外にある対象物、外的な対象物です。2つめの外的な対象物も、やはり、六つの感覚器官で見ていきます。眼で見えるもるものなら眼で見ていきます、音だったら耳で聞きます、匂いだったら鼻で…。

 

 3つ目は6種類の接触です。6つの感覚器官は、外的な外にある対象物と内側にある自分の感覚器官とが接触することなのです。花は目で見るものだから、花という外的な対象物が、内側の感覚器官と接触するということです。ですから、自分が見ようとしなければ、見えないし、聞こうとしなければ、聞えません。音との接触はないわけです。ですから、3番目は接触ということです。
 では、接触が起きたら次に何が起きますか。識が起きます。眼識、耳識・・・、6つの識が起きます。そのあとに、心基の部分に心が生まれます。そしてそのあとに、感受が起きます。感受には3種類あります。うれしいという気持ちと、うれしくないという嫌悪の気持とどちらでもないという、中立的な気持ち。何かを見て、「良いなー」とか、「嫌だなー」とか思うでしょう。ですから、感受にも、6種類の対象物があります。聞くことによっても、3種類の感情が生まれますし、匂いを嗅ぐことによっても、3種類の感情が生まれます。

 

 まとめますと、1つ目は、6種類の透明な対象物、2番目は、6種類の外的な対象物。3番目は、6種類の接触。4番目は、6種類の意識。5番目は、6種類の感受。そして6番目は、6種類の要素なんですけれど四大(地・水・火・風)と空間と心基(ハートベース)です。四大はわかりますね。それに、空間というものがあり、心基については、今はまだ分からないかもしれないけれど、ルーパを観察する段階になったら心基を使って行きますのでもっとよく理解できるようになるでしょう。

 

 7番目は五蘊です。色蘊、受蘊、想蘊、行蘊、識蘊ですね。それから、四つの無色界の禅定。今皆さんが、アナパナで目指している禅定というのは、初禅から四禅まで4つあるんですけれど、それは色界の禅定です。皆さんが、禅定までしっかり行けたら色界の梵天界に生まれるか、無色界の梵天界に生まれるか選ぶことができます。自分の禅定の力によって選ぶことができます。禅定に達していなかったらそんな所には生まれ変わることができません。梵天界に生まれ変わったらずっと瞑想ばかりしていてご飯を食べる必要はありません。それは良いと思います? 食べることも大変ですからね。禅定に入っている気持だけで十分なので、そこでは食べる必要がないのです。それが食事みたいなものなのです。

 

 色界の四つの禅定の世界では、体と心とを両方持っています。体を持っていると、体の面倒を見なくてはならないので忙しいですよね。意識だけで良いわと思って、心だけの、梵天界に行こうとします。体がなくて、心だけなのです。そんな風に、色界の上にもう四つ、五禅から八禅までの無色界という世界があるのです。そこでは、シャワーを浴びたり、食事をしたりするという必要はありません。禅定だけに入っていればよいわけです。
 無色界の禅定であっても執着しないでください。ヴィパッサナーをしていったら、無色界の禅定ですらも良い場所ではないと思います。物質がないから耳がなくて法話も聞けません。眼がないからブッダが現れても見ることができません。

 

 今まででヴィパッサナーの瞑想対象はいくつあったでしょうか? 8つですね。次は9番目です。サーリプッタ尊者はアナータピンディカに自分の中にある心と物質(ナーマ・ルーパ)を集中して観て下さいと言いました。
 今現在の自分の体に対して、12縁起によって観察してくださいとアナータピンディカに言いました。しかし過去世についての12縁起については言いませんでした。なぜかというと彼はすでに預流果だったので、過去を見る方法というのを知っていたのです。ですので今現在と未来の自分の心と体がどうなるのかということを12縁起で観て下さいと、ヴィパッサナーさせたのです。なぜ、未来についての12縁起をさせたかというと、来世の生まれ変わりに対して執着を持たせないためでした。来世に対する欲望とか、どういうところに生まれ変わりたいとかの行先に対して執着を持たせないためでした。

 

 そのあとで、尊者は、今言った9種類のヴィパッサナー瞑想について繰り返し繰り返し観察しなさいと、アナータピンディカに言いました。9種類のどれもが自分に属していないし自分のものでないし自分自身ではないということを理解させました。そして、すべてが「無常・苦・無我」であるということです。
 皆さんわかりますか。どんな対象物であっても分解していったら、粒子のレベルになっていって、決して自分には属していないということです。そんなわけで、どんな対象物を見ても、分解していって、自分のものは何もないのだ、空なのだということが分かるので、この経典の名前は「スンニャター・スッタ(空経)」といます。また、「アナータピンディカ経」とも言います。もしヴィパッサナーがしっかりできいて、このお話をすべて理解できたら阿羅漢になることができます。どうですか皆さんなりましたか? まだですか? また次回に繰り返さなくてはならないのかな。(笑)

 

 この話しを聞いた後、アナータピンディカにも何も起りませんで、預流果のままでした。皆さんと一緒です。法話を聞いた後にアナータピンディカは、泣いて泣いて泣きやまなかったそうです。それでサーリプッタ尊者はアナータピンディカに聞きました。「どうしてそんな風に泣いているのですか。未来が心配なのですか。財産のことが心配なのですか。地獄に生まれ変わるのではないかと心配しているのですか?」と。
「いいえ、私は未来のことも財産のことも、家族のことも心配してはいません。でもお話を聞いてびっくりしてしまったのです。私は、生涯において幾度もサンガに礼拝し、僧院を訪れ、お布施をし、法話を聞いてきました、しかし今のような深い話は聞いたことがなかったのです。このことを自分はとても残念に思ます」と。

 

 そして尊者に対して、これからは、在家の人たちにもこのような法話をして下さるように頼みました。その時、横にいたアーナンダ尊者は、「この話は在家の人にはふさわしくありません」と言いました。それを聞いたアナータピンディカはがっかりしました。在家の人たちは執着が多いから、自分の財産や家族や手放すのは容易なことではありません。だからこのような法話をしても難しいでしょうというわけです。
 皆さん、今この話しを聞いて、もう家に帰らないで家族も手放しなさいと言われたら、それができますか? いま私が、財産も何も捨てて、ミャンマーへ瞑想しに行きましょうと言ったらどうします? 仕事もお金も手放しなさいと。私と一緒に来ますか?
誰も返事がありませんね。それじゃあどうやってヴィパッサナー修行するするんですか。

 

 アナータピンディカは、「在家の人でも、よい波羅蜜を持っている人はいますから、こういう話しを聞いた後に人生が変わって、もっと修行したいと思う人も出てきます。ですからこういう法話を在家の人にもしてください」と尊者に頼みました。それを聞いて尊者は良いですよと了解してくれました。そして二人の尊者は僧院に戻っていきました。しばらくしてアナータピンディカは亡くなり、タウリンサ(三十三天)に生まれ変わりました。

 

 皆さんは十分によい波羅蜜を持っていますので、家に帰ってからも引き続き修行をなさってください。来年は、ニミッタが見えている状態でここに戻ってきてくださいね。どうやってアナパナ瞑想するかその仕方もわかっていますね。ですから来年は、ニミッタと共に戻って来ると約束してくれますか? 来年は三十二身分から始めますよ。毎年来るたびにアナパナの説明だけでは退屈なんですけど。(笑) 来年は瞑想対象を変えたいです。皆さん、休みの日は家や公園で瞑想してくださいね。 ありがとうございました。

 

     サードゥ!  サードゥ!  サードゥ!

 

        (2020年1月3日 南房総合宿での法話  通訳:川本佳苗さん)            

 

 

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