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2019年12月11日 (水)

クムダセヤドー 法話(9)

2019年5月、来日されたクムダ・セヤドーの法話を文章にして順次掲載しています。
文章化にあたって協力してくださった皆様に感謝申し上げます。

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田植え前の田んぼ

将軍バンドゥーラの話
 今日のお話は、お釈迦様の時代にいたバンドゥーラという将軍と奥さんの話です。その奥さんの名前はマリカといいます。将軍はとても力持ちでした。彼がどれくらい力があるかを確かめたいというので100本の竹を切ることになりました。100本の竹を音も出さずに切れたらそうとうの力ですが、さらに竹の中に鉄の棒を入れておいて、これも切れるだろうかと。そうすると、100本の竹の棒は音も出さずに切れて、鉄の棒はどうしても音が出る。最後の一本だけ音が出た。しかし、100本の竹の中に入った鉄の棒も切ってしまいました。それほどの力持ちでした。

 そのバンドゥーラがマリカと結婚しましたが、子供に恵まれないので、マリカはお釈迦様に会いに行きました。お釈迦様に礼拝してお話しすると、お釈迦様はどこへ行くのか聞かれますので、マリカは親元に帰ると答えました。なぜ帰るのかと聞かれたので、子どもが出来ないから旦那に帰ってくれと言われて親元に帰ります、と答えました。お釈迦様は、そういうことなら親元には帰らなくて良いから、旦那さんの元に帰りなさい、と言われました。それでマリカは旦那さんのところに帰りました。

 しばらくすると、ようやく子どもを授かりました。子供ができると、マリカの振る舞いも変わってきて、やりたいことをするようになりました。王族だけで、一般の人は使えない池に行きたいと思うようになりました。その池の名前はリスミといって、今でもインドにあります。今はレンガできれいに整備されています。その池は王様やその子どもが使う場所で、よく整備されていて普通の人は入れないようなところです。王族以外は入れない池に、奥さんが行きたいと言いだしたのを聞いて、旦那さんは、行きたいなら連れて行こうと言って、馬車に奥さんを乗せ、武器も積んで連れて行きました。池は警備が厳しいのでなかなか入れませんが、警備兵に話をつけて、将軍も奥さんも入りました。それで、池の水を飲んだり水浴したりしました。

 一般の人が池を使ったので、王様と子どもたちや王族は怒りました。それでバンドーラを殺そうということになって将軍のところに向かいました。王族たちも怒りから将軍を殺そうと追いかけました。ところで王族の中に将軍と一緒に学校で勉強した人がいて、将軍の力を知っているから、行かないように止めました。王族は怒りが収まらず殺そうと追いかけました。将軍をよく知る人は、力があって誰にも比べものにならない人なので、行くとしたら注意するようにと。何を注意するのかと言うと、馬車の車輪が土に深くはまってしまったら、そこで止まって戻って来るようにと言いました。将軍はとても力があるので弓矢を引くと千人射ってしまうほどだ。千人の力で引いても矢が動かないのに、将軍が引くと動かせるくらい力がある。力を込めて足をふんばり、矢を引くとその力で下の土が深くへこんでしまう。そんな力があるのです。

地面がへこんでいるのが見えたら戻って来なさい、それでも追いかけると命がないと注意しました。矢を引くときに、雷みたいな音がするので、それが聞こえたらもう先に行かないように。そのまま追いかけたら命がなくなるので、それだけは気をつけるようにと注意しました。それにもかかわらず王族達は将軍を追いかけました。将軍は部下に、車輪の走ったわだちが真っ直ぐになっていたら教えるように命じました。後ろから追いかけてきた王族の馬車が、真っ直ぐに並んだ時に矢を射ると、矢がまっすぐ走って、みんなを殺すことができます。将軍にはそんな力がありました。

 将軍はマリカと結婚して子どもを授かりましたが、双子が16回生まれて32人。32人全部男です。その息子たちが大きくなって、父親のようにパワーがある者たちばかりです。将軍が力持ちで、息子たち32人が父親みたいにパワーがあるので、王様をお迎えするときも彼らの家族だけで行い、他の人は入れません。他の家来たちが嫉妬して王様に将軍の悪口を言いました。王様もパワフルな将軍の家族たちが、実力をもっているので恐れるようになりました。財産や自分の立場を奪われると思って恐れました。王様の下にいる大臣達も将軍の悪口を言い、将軍がここにいたら王様も危ないし私達も危ないので将軍をどこか遠いところ行かせてくださいと訴えました。王様は将軍を国の遠い所、内戦が起こっている所に行かせました。将軍と32名の息子たちも一緒です。将軍がそこへ行っている間に、王様は別の軍隊を行かせて将軍と息子たちを暗殺させました。

 王様の軍が将軍を殺しているとき、マリカはお釈迦様と比丘500人を家に招待して食事のお布施をしていました。食事のお布施をしている間に、旦那さんと息子たち32人が殺されたという知らせがマリカに届きました。その時マリカはお釈迦様に食事を差し上げる準備をしていました。昔なので陶器をつかうのですが、お釈迦様に差し上げようとしたら、知らせが来て動揺し、食器を落として全部割れてしまいました。お釈迦様はマリカに言います。あまり悲しまないでください、と。別れるときは何をしても別れてしまいます。その別れるということには私達にも含まれるのです。別れるということは死ぬ事を意味します。

悲しみを越えていくには
 人間には、自分が好きなもの、こだわりあるもの、気に入ったものそれぞれあります。マリカが持っていた陶器みたいにいつでも割れるし、いつでもなくなります。私達人間は死ぬことにもなるし、別れることもあります。自分が好きなもの、気に入っているもの、好きな人も、いつか別れたり死んでいきます。そういう事になったら涙が出ることになります。悲しくなってそういう涙が出ないようにするにはどうしたらいいでしょうか?
人間なのでいつかこういう事が絶対にあります。自分が好きな人や、気に入ったものでもいつか別れることになります。このような目に遭ったらみなさんは動揺することになるし、悲しいことになります。しかし、それはみなさんが必ず会う事です。私達が好きな人とか、家族、友人、奥さん、子供、自分が集めた財産、それも全部含めていつか離れるし、別れることになります。

 先立たれることもあるし、自分が先に別れて行くこともあります。そういう事になったとき、自分が悲しまないよう、どのように心に収めて対処したらいいでしょうか。 泣いてばかりいても仕方ありません。 そういう事にならないように、それに対処できるように、セヤドーはミャンマーから来て教えています。ですから、みなさんも頑張ってください。セヤドーは遠い所からきていて、こちらとは季節が逆で今ミャンマーは暑い時期です。今、ミャンマーの気温は42度で、ここは15度。ずいぶん差があります。セヤドーはもう歳ですが頑張ってきています。皆さんは10日間だけの合宿なのですから、がんばってください。

 今セヤドーがお話ししていることは悲しい時、嬉しい時、その感情が出てくる時に智慧で見ることです。智慧で見ることができれば、感情に対処できる。そうでないと多分みなさんは嬉しい時、悲しい時、動揺して感情が現れるんですね。しかし、そういう(ヴィパッサナーの)レベルに行ってる方だけが、嬉しい事もないし、悲しいこともないのです。そういう風にできるのです。

 智慧で、「無常、苦、無我」を見ることができるのです。身体を智慧で見ると、身体がなくなってカラーパ(微粒子)だけが見えます。身体として見ないでカラーパだけが見える。その中で「地、水、火、風」、4つだけの要素として見えるのです。カラーパの中に8種類あります。「地、水、火、風、色、臭い、味、栄養素」で8種類。もし透明の要素(浄色)を入れたら9種類。命根を入れたら全部で10になります。それを見て、「アニッチャ、アニッチャ(無常、無常)」と集中します。それを見てから、「ドゥッカ、ドゥッカ、(苦しみ、苦しみ)」を見ます。それを智慧で見て、「アナッター、アナッター(無我、無我)、私がない」と見ます。そういう風に見えるなら、さっき言った好きなことや、好きなものとか本当に無いと分ってくるのです。自分が好きな人、物、そういうものは壊れます。指さす間に生じて、すぐになくなるのです。今、目で見えないですけど、カラーパとかもそうです。「生じて壊れて、生じて壊れて」。ですから、私達が好きな物でも好きな人でも、そういう人も、生じて壊れて、生じて壊れているのです。私達が好きな人とか、好きなものとかは本当は無いのです。「無常、苦、無我」を見れば今の私達が好きな人とか、好きな物とかに執着することはないのです。

 私達はまだそういう力がないから何でも欲張りで、何でも欲しがります。何でも欲しがる気持ちが出てくる。智慧で見る方達は、何も欲しくないし、何者にもならない。ヴィパッサナーのレベルまで行くと、今までは悲しく別れる物でも人でも、別れる時悲しさ嬉しさを感じなくなります。ヴィパッサナーまで行ってない人は、今までみたいなことが感じられます。悲しい時は悲しくなり、嬉しい時は嬉しい気持ちが出て感情的になります。ヴィパッサナーの智慧のない人達は、こういう別れに出会ったら、怖れて動揺します。どうしたらいいか、わからなくなるのでセヤドーはヴィパッサナーができるまで教えてあげたいのです。

  皆さんは、好きな人、好きなものと別れなくてはならない場合に動揺しますか? 悲しくなったり落ち込んだりしますか?  ヴィパッサナーの智慧がある人は悲しくなったり落ち込んだりしません。ヴィパッサナーまでできる人は動揺するものがないので自分が強くいられます。ヴィパッサナーの智慧まで行かない人は来世、再来世もあって、悲しいこと落ち込むことが必ず出てきます。その時は毎回毎回繰り返しになります。私達が悲しい時、落ち込んだりした時、涙が出ますよね。その出てきた涙の量は海より多いのです。今世だけではなく、私達の生きてきた過去から流した涙は海より多いのです。そういう涙が出ないようにセヤドーが一生懸命教えています。ですから眠ったり、妄想とか出ないように、しっかり集中してやってください。セヤドーも歳をとりました。セヤドーが歳をとって来れなくなったらどうしますか。みなさんミャンマーに来きますね。しかし、今の10日間だけでも頑張れなければミャンマーに来てもムダです。明日から悲しいことがあっても涙が出ないように、みなさん集中して頑張ってください。今日はここまでです。

        サードゥ!  サードゥ!  サードゥ!

            (2019年4月29日  みなかみ合宿での法話)

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2012/8 宝台樹高原

  • 6
    8月に合宿の行われたみなかみ町藤原は宝台樹山のふもとにあり、冬はスキー場になる高原風ののどかな村です。

2009年クムダ・セヤドーのお寺 

  • 10 セヤドーのお話を聞く
    ミャンマー・ヤンゴン市郊外モービにあるクムダ・セヤドーの瞑想センターを訪ねた方が写真を送ってくださいました。 シーマホールも完成し、そこには富士山をバックにした仏像がまつられています。

2008/8 水上合宿

  • 雨上がり
    8月に合宿の行われた水上町藤原はまさに水の里。民宿周辺の風景をお届けします。

2008 夏の風景

  • 朝霧の沢
    夏の暑い日、川の源流では入道雲が湧き、山や木々は様々な表情を見せていました。

2008/7 関西合宿・瞑想会

  • 延命寺三門にて
    大阪、河内長野市にある延命寺は弘法大師空海が開基と伝えられ、市の紅葉名所にもなっている美しいお寺です。 ここで7月、クムダ・セヤドーをお招きして一週間の瞑想合宿が開かれました。
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