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2019年6月25日 (火)

クムダ・セヤドー 法話(2)

2019年5月、来日されたクムダ・セヤドーの法話を文章にして順次掲載しています。
文章化にあたって協力してくださった皆様に感謝申し上げます。        
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                合宿会場

 

大事な5つのこと

皆さん、生きていると、いろいろな生活をして、いろいろな人に出会います。いろいろな人に出会ってみると、相手により様々な性格があります。その性格に合わせて、私たちはいかに対応すべきか、ということを今からお話しします。皆さんメモしておいてください。

 

一番目は、怒りの人です。怒りっぽい人に出会ったら、自分から慈悲をもって話ししてください。怒りの人に慈悲で打ち勝つようにしてください。その意味がわかるでしょうか?怒りを乗り越えてください。
二番目は、悪い言葉をつかったり、暴言を吐いたりする人です。そういう人に出会ったら、自分は相手に暴言を吐いたりしないで、暴言を無視してそれを乗り越えてください。

 

(質問)それは一番の怒りの人とは違う人ですか?
(答え)二番目の人は、怒りだけでなく暴言を吐きます。そういう悪い言葉をつかったり暴言を吐いたりする人に皆さん会ったことはありますか? ○○さんは、そういう人たちに出会うかもしれないので話しています(笑)。

 

三番目は殺すとか言って脅迫する人。もし自分が脅迫されたら、その脅しを相手に返さないでください。それを言葉で返したりしないことです。
四番目はけちな人。お金にけちな人、人にものを絶対にあげたりしない人。そういう人に会ったら逆に自分が差しあげてください。
五番目はうそをついたりだましたりする人、そういう人に出会ったら、自分が正しく直してあげてください。うそをつかないように正しく説いてください。

 

今の話は5つの項目がありました。それはウトラーという天女が人間だった時に、お釈迦様がウトラーに教えた教えです。私たちも必ずこういう人たちに出会います。怒りが出ている人に会います。自分が良いことをしてあげても文句をいわれたりします。そういう人にもし会ったら、慈悲で理解してあげてください。さっきいったように悪い言葉を使ったり、暴言を吐いたりする人に会ったら、同じように言い返さず、慈悲で我慢してください。もし脅迫する人たちに会ったら、そういう風にしないで黙って乗り越えてください。四番目のけちな人、物を上げることをしない人に出会ったら、自分が逆に差し上げてください。五番目の、自分が正しいことをやっていても文句を言ってくる人に会ったら、正しく教えてあげてください。この5つは必ず覚えておいてください。この5つにあるような人に会ったら、慈悲をもって我慢、忍耐してください。

 

慈悲だけでなく我慢、忍耐も必要です。忍耐がないとだめですね。自分が正しいことをやっていても、あれこれ言われる人は言われるのです。何か言われたら自分が我慢するしかないです。我慢してください。こういう人間世界なので、こういう人たちに必ず出会います。会っても今のように慈悲で我慢してください。今の話は5つありました。皆さんメモして覚えておいてくださいね。次に天女のお話をします。このお話は覚えなくてもいいですが、今言った5つだけは必ず覚えておいてください。これがいつか必ず使えます。必ず私たちが出会う事なので覚えておいてください。

 

天女ウトラーの話

 これからのお話はウトラーという天女で、前世が人間だった時のお話です。インドのギッチャクッタ(霊鷲山)という山の近くにラージギルという町がありました。ウトラーは天女で、人間だった時、お母さんの名前もウトラーで、娘の名前もウトラーといいました。旦那さんは畑仕事をして生活をしています。名前はプンナです。あるとき、旦那さんはラージギルの町のお金持ちの畑で働いていました。近くのギッチャクッタという山の頂上で7日間のお祭りがありました。お金持ちが旦那さんに、7日間のお祭りに遊びに行くか、畑で仕事をするかどちらを選びますかと聞きました。ウトラーの旦那さんは、「遊びに行くことはお金持ちのやることで、私たちは明日のためにもお金がないし食べるご飯もありません。働かなくてはならないので行きません」と答えました。旦那さんは、奥さんにお弁当を届けるように頼んで畑に働きに行きました。

 

そのときサーリープッタ長老が7日間瞑想をしていました。瞑想のパワーで誰かを助けに行かなくてはいけないのが見えました。それで見ていたら、その夫婦二人を助けに行かなくてはいけないのが見えました。サーリプッタ長老は旦那さんの畑の近くまで行って、干し草をじっと見ていました。旦那さんはサーリプッタ長老がそれを欲しくて見ているのかなと思って、それを欲しいのですかと聞きました。長老が欲しいといったので、干し草を歯ブラシに整えてお布施しました。お布施をし終わったら、長老が鉢の中から水を漉(こ)す布を出して見せました。旦那さんは長老が水を欲しいのかと思い水をお布施しました。

 

そのとき奥さんはご飯を作っていました。サーリープッタ長老には全部見えているので、奥さんがご飯を作り終わるタイミングを待っていました。長老が町に入ったとき、奥さんはご飯を作り終わっていました。前に長老は奥さんに会ったことがあります。奥さんの方はその時お布施するものが何もなく、お布施できなかったのです。お布施をしようと思っているときにはサーリプッタ長老がいないのです。今日は偶然ですが、それはサーリープッタ長老がわざわざ作った偶然ですね。奥さんの方は、それを知らず、うれしくて旦那さんのごはんとかおかずを全部長老ににお布施しました。全部上げてしまったので、旦那さんの分がなくなり、もう一回作りなおして、持って行きました。届けるのが遅くなったので、旦那さんは何で遅れたのか聞きます。奥さんは、サーリープッタ長老に会ってごはんとかおかずをお布施したことを話しをしました。旦那さんも、こちらにも長老が来て歯ブラシとお水をお布施したことを話し、お互いにうれしくなりました。おなかがすいていたので、奥さんが作ったごはんを食べて、眠くなってきて、旦那さんは奥さんの胸の中で、二人とも眠ってしまいました。

 

二人ともぐっすり寝てしまって、起きてみるとさっき整えた畑が、全部金になっていました。ありえないですよね。さっきまで自分で整えたのは土なのに、自分が勘違いしているのかなと思って、奥さんにも金が見えるかどうか確かめました。それで金を取って確かめるために、たたいたり、中身を割ってみると、ほんとうに金になっていたのです。夫婦二人はびっくりしました。サーリープッタ長老にお布施をしたので、すぐにその功徳が現われたといって喜びました。

 

その金をお弁当の入れ物に入れて、ビンビサーラ王に二人で届けに行きました。自分たちの畑で見つけたのでビンビサーラ王に差し上げました。王様が名前を聞きます。プンナとウトラーですと名前を言いました。どうして金を預けに来たのかと聞くと、今日サーリープッタ長老会って、お布施をしたら、その金が出てきましたと、さっきの出来事を全部王様に話しました。ビンビサーラ王も大変驚きました。今日お布施をして、今日金が出てきたのだからすごいことだと。そして、金を運ぶために馬車を何十台もそこに行かせました。馬車でビンビサーラ王の家来たちが取りに行くと、家来たちは、「ビンビサーラ王のもの」と言って金を入れ物に入れました。そのように言うと、金が土になってしましました。ビンビサーラ王のものではないのに、「ビンビサーラ王のもの」と言っったために金が土になってしまったのです。

 

セヤド―がおっしゃるには、ミャンマーにもこういうことがあります。ミャンマーでは昔から金がたくさん出るんです。ルビーとかご存じかとおもいますが金もたくさん出るのです。お金のない人たちが土の中を掘っていると、金が出てくるので貧乏人たちはそれを取って生活していました。ある日、前の軍事政府が金が出ているという話をきいて、そこを立ち入り禁止にして誰も入れないようにしました。軍隊の制服の人たちは、力があるので、そうしました。ところが、昔は金が出ていたのに、掘っても全然出てきません。貧乏人がいるところは金とかルビーとか出てきます。その人たちが生活するために、たくさんではなくちょろちょろと出てきます。ミャンマーの北にそういうところがいっぱいあります。それはカルマですね。それで出てきます。

 

それで、王の家来たちはもどってきました。なぜ土になっているのかと聞かれました。私たちは王様のものだから、「王様のものです」と言いながら取っていたら、土になってしまいました、と答えました。それはあなたたちが間違っています。本当はプンナのものなので、「プンナのもの」と言わなければいけないのです。それで、もう一度行って、今度は「プンナのものです」と言いながら入れると、金がいっぱい出てきました。その金がどれだけ多いか、手でここからここまで、80回。30から40cmの80倍の高さぐらいあります(およそ25m)。それは、もともとプンナのものなので、ある程度の量を王様はプンナにもあげました。それで名前がマハーダーナ(大いなる布施者)となりました。プンナはマハーダーナになり金持ちになりました。前にマハーダーナが働いていたお金持は、息子をマハーダーナの娘ウトラーと結婚させたいと思いました。

 

お金持ちになってから7日間、お釈迦様と500人の比丘に食事のお布施をしてお釈迦様から毎日法話を聞きました。法話を聞いた親子三はソターパナ(預流者)になりました。マハーダーナの家族三人がソターパナになったのです。マハーダーナはお金持ちが邪見をもっているので娘を結婚させたくありませんでした。しかし、周りの人たちはみんなマハーダーナに言いました。以前、この人の畑で働いて金を持つことができたので、お金持ちには世話になっているではないかと。さんざん言われて、仕方なしに最後には娘と結婚させました。

 

娘はソターパナになっているから、お坊さんにお布施したり、お釈迦様にお布施したり、接待したかったのです。しかし、旦那さんがそれをしないので、従うしかありませんでした。結婚して旦那さんの方についていたのでダーナができなかったのです。それでお布施ができないので落ち込んでいました。ソターパナだからお布施をしたかったのです。

 

ある日、ワサ(雨安居)の三か月のなかで、二か月半が過ぎ、あと二週間を残すだけになりました。お釈迦様に会って、お布施したり、法話を聞いたり、比丘たちにもお布施をしたいが、それができないので親に手紙を書きました。親は娘にお布施するようアドバイスします。ラージギルのまちにはシリマという名前の娼婦がいました。そのシリマに頼んで残りの15日間旦那さんの世話をしてもらいました。シリマには一日分の日当×15日分を払って、親は、シリマに二週間の間、旦那さんの世話を頼みました。シリマが旦那さんの世話をするので、二週間、ウトラーがお釈迦様のお世話をしたりお布施をするようにと親はアドバイスしたのです。それで、娼婦のシリマに二週間世話をさせたのです。

 

最後の日、15日の前日、窓から旦那さんが外を見ていました。奥さんのウトラーがお釈迦様にお世話するため一生懸命働いているのが見えました。そしたら、旦那さんがにこっと笑いました。旦那さんが、奥さんの一生懸命働いているところを見てにこっと笑ったのを見たシリマがやきもちを焼きました。シリマは仮の奥さんで、向こうが本当の奥さんなのに嫉妬してしまったのです。怒りが出て、嫉妬も入っていました。シリマはウトラーのところに行きました。シリマのおかげでお布施ができているのでウトラーは慈悲を送っていました。一方のシリマは怒りで来ています。ウトラーの横で揚げ物をしていて、熱い油がありました。シリマは熱い油をコップにとってウトラーの背中にかけました。ウトラーは、本当は熱い油なのに、涼しい水をかけられた感じがしました。ウトラーは慈悲を送っていました。ずっと慈悲を送っているので熱いと感じないのでした。それで、シリマは再び油をかけようとました。そうしたらお手伝いさんが彼女を捕まえて、殴りかかりました。殴ったり、たたいたりしていたら、ウトラーが、「もうやめなさい」とお手伝いさんたちに言いました。「シリマのおかげで私たちがお布施できているのです。彼女にそんな風にしないでください」と言って、シリマは助かったのです。

 

それで、シリマも助けてもらったので後悔してウトラーに謝りました。「自分が間違っていました」と。謝ってもらったウトラーはそれだけでは納得がいかないのです。「私に謝るだけでなく、向こうに行って礼拝してください」と。「私に礼拝してもらっても納得がいかないから、お父さんにもしてください」とウトラーが言いました。それで、「お父さんにもします」とシリマが言います。「あなたのお父さんは誰ですか」と聞ききますと、「私のお父さんはお釈迦様です。こういうことをやっている善い人です」と説明しました。「明日お釈迦様が来るから、ここに来てください」と頼みました。シリマはお釈迦様が来るので、謝るためにお布施をしようと、いろいろなものを集めて持ってきました。シリマは、お釈迦様や比丘たちに直接食事を上げられません。自分は良い人ではなく、良い仕事もしてないので、恥ずかしく、直接上げることができずにウトラーに上げてもらいました。

 

それをお釈迦様が見ていて、「あなたがやらないで、なぜウトラーにやらせるのか?」と聞きました。シリマは自分がしてきたことを全部お釈迦様に話しました。自分が、こういうことをやっていたからウトラーにも迷惑をかけた。それなのにお釈迦様に会えて、お布施をしている、と話しました。お釈迦様はウトラーをたいへん褒めて、最初に言った5つのことを話しました。

(一番目)怒っている人を、怒らないで慈悲で乗り越えましょう。
(二番目)暴言を吐いたり悪い言葉を言ってくる人達を、そういう風に言い返さないで我慢で乗り越えましょう。
(三番目)脅迫する人たちにたいして、自分は脅迫しないで我慢して乗り越えましょう。
(四番目)けちな人に会ったら、自分が反対に差し上げてください。
(五番目)うそをついている人や悪いことを言ってだます人に会ったら、自分が正しいことを言って直してあげてください。
この五つのことをお釈迦様はウトラーに話しました。
それを聞いてウトラーの旦那さんと、旦那さんのお父さんとお母さんとシリマも全員ソターパナになりました。最後は皆さんソターパナになりました。

 

まとめ

大事なのは、この五つのことですね。
怒りのある人と会ったら、怒りで返さないで我慢で乗り越えてください。
悪い言葉で暴言を吐かれても、自分は言い返さないで我慢してのりこえましょう。
脅迫されたら、自分も脅迫しようとしないで我慢して乗り越えましょう。
けちな人と会ったら、自分が逆にさしあげましょう。
自分が嘘をつかれても、我慢して正しく直してあげましょう。

 

最後に言いたいのは我慢、忍耐です。何をやられても我慢して生活してください。今日は、話が長かったけれど、最後にまとめると我慢、忍耐です。

 

(質問者)セヤド―がおっしゃっている我慢、忍耐のパーリ語はなんですか? 
(答え)カンティ(Khanti)です。

 

ですから、瞑想など私たちがやっていることも忍耐です。瞑想している間に身体が痛くなっても忍耐です。ごはんを食べることも忍耐です。怠け心にたいしても忍耐です。今、皆さん飽きてますよね、飽きに対しても忍耐です。飽きてきて、自分がやりたくないと思っても、やらないとうまくできないのです。

 

阿羅漢になる人でも、飽きることや怠けることもあります。阿羅漢の最後の生まで何もしないでいる人もいます。最終的には阿羅漢になりましたが、お坊さんになってから7回も還俗を繰り返して、お寺に入ったり出たりを繰り返して阿羅漢になったのです。

 

ちなみに、この話のシリマはとても美しい人でした。シリマが好きになった比丘の話があります。ある比丘がシリマを見て、好きになってしまって、ご飯も食べられなくなりました。本当は阿羅漢になる比丘ですが、それでもシリマを好きになってしまったのです。ある日、シリマが病気になり死んでしまいました。死んだら臭いが出るじゃないですか。シリマが生きている間、シリマと遊ぶと1000円かかりました。シリマが亡くなって、シリマの遺体をどうしようかと王様がやってきました。シリマの遺体を欲しい人は1000円で買ってくださいと言いました。誰も買う人がいないので、700円、500円、300円、200円、100円、最後に1円でもだれも買わないのです。その話をお釈迦さまと、シリマを好きになった比丘が聞きました。そして、皆でアスバ瞑想(死体の観察)をやりに行こうということで、シリマを好きになった比丘もアスバ瞑想をしました。アスバ瞑想をしたら、その場でシリマを好きになった比丘が阿羅漢になりました。

 

シリマはいまだに天国で天女になっています。いまも天国にいるそうです。それでは、皆さん忍耐して頑張ってやってください。今日はちょっと長かったですね。

 

        Sadhu!   Sadhu!   Sadhu!

 

                  (2019年5月3日  みなかみ合宿での法話)

 

 

 

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